こんにちは、せーじんです。
今日は米国の11あるセクターの1つ、生活必需品セクターについてお話をしますよ。
生活必需品セクターって、どんな業種なの?
食品、生活用品、タバコなんかのメーカーや、それを売っているお店が入っているセクターだよ
主婦には馴染み深いセクターだね
生活必需品セクターの市場規模を確認しましょう。
こういう時は、S&P500のセクター別構成比を確認するとわかりやすいですよ。
生活必需品の割合は6.1%かあ。そんなに大きくはないんだね
割合が大きくないだけに、期待できることもあるんだよ
- S&P500とは違う値動き(相関性の低さ)
- 景気後退期の安定感
S&P500に占める割合が低いということは、一般消費財セクターの値動きがS&P500に与える影響が小さいということ。
S&P500とは相関性が低く、異なる値動きをする傾向が強いのなら、リスクヘッジに役立ちますね。
また、生活必需品は、どんなに不景気でも買わざるを得ないもの。
景気後退期でも安定した株価を期待したいところです。
ということで、今回は主婦・主夫の味方、生活必需品セクターのETFを紹介していきましょう。
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今回登場するETFは、この2つ
生活必需品セクターETFって、どんなのがあるの?
今日登場するのは、この2つのETFだよ
- 生活必需品セレクト・セクター SPDR ファンド (XLP)
- バンガード・米国生活必需品セクターETF (VDC)
それでは、一覧表にしてみてみましょう!
ティッカー | XLP | VDC |
運用会社 | ステートストリート | バンガード |
設定日 | 1998.12.22 | 2004.1.30 |
総資産 | 113億5700万ドル | 58億1700万ドル |
出来高 | 12,693,845 | 95,517 |
分配金 | 2.02% | 2.08% |
経費率 | 0.12% | 0.10% |
経費が安いのはVDCだけど、XLPもほとんど同じくらい
VDCの経費は、ものすごく安いね
さすが安さに定評のあるバンガードだよね。0.10%は安い!
ただし、XLPも経費率が0.12%と非常に安いですから、差はほんの少しだけです。
資産総額、流動性はXLPが最も優れています
資産総額と出来高は、XLPの方が大きいね
そうだね。流動性はXLPの方がすごく大きいから、機関投資家とかすごい額を運用している投資家はXLPの方が売買しやすいだろうね
普通の個人投資家なら、VDC程度の出来高があれば困ることはありませんよ。
株価チャートでリターンを確認しよう!
ではリターンを確認しましょう。
わかりやすいように、S&P500のETF・VOOとの比較で見ていきます。
2021年初来ではS&P500を下回っています
まずは、2021年初来の株価チャートを確認しましょう
生活必需品ETFは、S&P500よりも下だね
XLPとVDCは、ほとんど同じように動いてるね
2020年初来で見ると、コロナ前高値を超えたところで停滞
コロナショックを挟んだ、2020年初来の株価チャートを確認しよう!
2020年初めから見ると、ここでもリターンはS&P500に負けてるね
そうだね。コロナショックの下落は小さいし、2020年11月まではS&P500との差は小さいんだけど。その後の伸びが悪いなあ
コロナショックからの回復は遅くないんだけどね
回復後に、そこで停滞しちゃったね
コロナショックでの値動きを比較しよう
生活必需品セクターは不景気に強いんだよね
コロナショックでの下落幅と、その後の回復の値動きを見てみよう!
おお、明らかに下落幅が小さいね!
実際に、どんな下落だったのか数値で比較しようか
S&P500(VOO)の34%下落に対して、生活必需品ETFは25%前後の下落。明らかに小さいね
暴落後もしばらくは生活必需品ETFがS&P500を上回ってたけど、6月には追いつかれちゃってるね
ずいぶん早いけど、どうしてだろう
コロナショックは、各国政府の迅速な経済対策によってすぐに回復したからね。
回復に時間がかかった場合はどうだったのでしょうか。
次は、リーマンショックの時を見てみましょう。
リーマンショック時の値動きは?
コロナショックは回復が早すぎて、景気後退時の比較がしにくかったですね。
もっと長期間景気が悪化していた、リーマンショック以降の株価を比較しましょう。
- VOOはリーマンショック時は運用が始まっていないため、SPYで代用しています
リーマンショック直前からの比較だと、10年間くらいS&P500よりも高リターンだね
リーマンショックでの下落幅も、S&P500よりもすごく小さいね。防御力(暴落への強さ)は十分にあるようだね
長期(10年間)リターンを確認しよう
10年間の長期リターンを確認しましょう
2011年からの10年間で見ると、VDCもXLPも、S&P500よりかなり下だね
そうだね。景気のいい時期は、S&P500よりもパフォーマンスが悪いみたい。
VDCとXLPは、ほぼ同じ値動きをしているね
ほんとだ!10年間で4ポイントしか差がないもんね。
でも、どの期間で見てもVDCがすこーしだけ上なんだよね
S&P500との相関性は?
では、生活必需品セクターとS&P500との相関性を、相関係数で確認していきましょう。
相関係数について、詳しくはこちらの記事で掲載しましたので、参考にご覧ください。
では、相関係数のチャートを見てみましょう。
10年間の相関係数を示してるけど、相関性は高そうだね
たまに逆に動いたりはしてるみたいだけど
そうだねえ。たまに逆にいくけど、ヘッジとしては使いにくいかな。
一緒に動く確率の方が高いからね。
でも、暴落に強いのはプラスポイントだよね
構成銘柄を比較。銘柄数は違っても、上位陣は同じ顔ぶれ
構成銘柄の比較をしてみましょう。
ETF | 構成銘柄数 |
XLP | 33 |
VDC | 97 |
それぞれのETFの構成銘柄の上位10銘柄です。
No | XLP | % | VDC | % |
---|---|---|---|---|
1 | プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 15.82 | プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 13.64 |
2 | コカ・コーラ | 9.93 | コカ・コーラ | 8.89 |
3 | ペプシコ | 9.52 | ウォルマート | 8.00 |
4 | ウォルマート | 9.17 | ペプシコ | 7.98 |
5 | コストコホールセール | 4.87 | コストコホールセール | 5.83 |
6 | モンデリーズ・インターナショナル | 4.76 | フィリップ・モリス・インターナショナル | 4.71 |
7 | フィリップ・モリス・インターナショナル | 4.64 | モンデリーズ・インターナショナル | 3.85 |
8 | アルトリア・グループ | 4.27 | アルトリア・グループ | 3.63 |
9 | コルゲート・パルモリーブ | 3.80 | エスティローダー | 3.09 |
10 | エスティローダー | 3.72 | コルゲート・パルモリーブ | 2.92 |
構成銘柄は2銘柄とも同じだね
ほんとだね。順位がちょっと入れ替わってるだけでメンバーは同じだね
3つのETFは上位10銘柄は全て共通、ところどころ順位が入れ替わっているだけです
XLPよりVDCの方がよく分散されています
分散性を比較してみましょう
分散性に関する項目を抜き出すと、このようになります。
XLP | VDC | |
---|---|---|
構成銘柄数 | 33銘柄 | 97銘柄 |
上位10銘柄の割合 | 70.50% | 62.54% |
上位5銘柄の割合 | 49.31% | 44.34% |
構成銘柄数はVDCの方が3倍ほど多くなっています。
上位10銘柄の占める割合、上位3銘柄の占める割合は両ETFとも高い数字になっていますが、
VDCの方が低く抑えられています。
2者を比較すれば、VDCの方が分散性に優れていますね
生活必需品ETFの構成銘柄は、配当王・配当貴族が多い
生活必需品ETFの構成銘柄は、配当王や配当貴族銘柄が多く含まれています。
配当王?配当貴族?
1株あたりの配当額を、長期間連続で増配し続けている銘柄に贈られる尊称です。
配当王 ・・・50年連続増配
配当貴族・・・25年連続増配
XLPやVDCの構成上位銘柄のうち、配当王、配当貴族はこの通りです。
銘柄名 | 連続増配 |
---|---|
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 配当王 |
コカ・コーラ | 配当王 |
ペプシコ | 配当貴族 |
ウォルマート | 配当貴族 |
コストコホールセール | |
モンデリーズ・インターナショナル | |
フィリップ・モリス・インターナショナル | |
アルトリア・グループ | 配当王 |
コルゲート・パルモリーブ | 配当王 |
エスティローダー |
10銘柄中6銘柄が配当王や配当貴族!
こうなってくると、生活必需品ETFの増配の状況も気になるよね
気になる!
では、XLPから見てみましょう
XLPの10年間の配当状況はこちら
やっぱり伸び続けてるね!
詳しいデータはこちらです。
Year | 配当額 | 利回り | 増配率 |
---|---|---|---|
2020 | $1.6892 | 2.52% | 4.48% |
2019 | $1.6167 | 2.65% | 4.65% |
2018 | $1.5448 | 3.23% | 3.72% |
2017 | $1.4894 | 2.86% | 13.84% |
2016 | $1.3083 | 2.84% | 2.63% |
2015 | $1.2748 | 2.91% | 9.49% |
2014 | $1.1643 | 2.84% | 13.30% |
2013 | $1.0277 | 2.90% | -3.63% |
2012 | $1.0664 | 3.80% | 20.39% |
2011 | $0.8857 | 3.49% | 16.03% |
なんだかいい感じ?
笑
この表からわかるのは、こんなことだね
- この10年間で、減配は1度だけ(2013年)
- コロナショックのあった2020年も増配している
- 2011年と比較して、2020年は配当額が2倍近くにまで大きくなっている
- ここ3年ほどは、増配の幅は大きくはない
VDCは大きく増配するが減配もある
次はVDCの10年間の配当状況も確認しましょう
VDCの配当もすごい伸びね
詳しいデータはこちらです。
Year | 配当額 | 年末利回り | 増配率 |
---|---|---|---|
2020 | $4.3505 | 2.52% | 10.42% |
2019 | $3.9400 | 2.53% | 8.01% |
2018 | $3.6478 | 2.95% | -0.81% |
2017 | $3.6777 | 2.74% | 14.61% |
2016 | $3.2090 | 2.67% | -2.58% |
2015 | $3.2940 | 2.92% | 36.28% |
2014 | $2.4170 | 2.27% | -0.45% |
2013 | $2.4280 | 2.64% | -6.29% |
2012 | $2.5910 | 3.61% | 36.80% |
2011 | $1.8940 | 2.93% | -0.63% |
なんだか、減配してる年が多いね
そうだね。同じような構成でも、違いが出てくるもんだね
- この10年間で、減配は5度。2年に1回は減配している
- コロナショックのあった2020年は、10%以上の大幅増配をしている
- 2011年と比較して、2020年は配当額が2.3倍にまで上昇し、XLPを超えている
- その原因は増配の幅。減配するときは小幅だが、増配するときは大幅に増配する
まとめ
生活必需品セクターのETF、XLPとVDCを調査しました。
生活必需品セクターは、食品、飲料、スーパー、タバコの銘柄を多く含むセクターです。
代表的なオールドエコノミーといった感じですね。
暴落時でもS&P500ほど株価が落ちない
不況でも需要がなくならない
構成銘柄に連続増配株が非常に多い
景気拡大期は、株価の上昇がS&P500を下回る
などの特徴があります。
XLPとVDCには、大きな違いはありません。
- 構成銘柄は、順位が入れ替わっているだけで上位銘柄は同じ
- 株価の動きも、ほぼ同じ
しかし配当の増減に関してはやや違いが見られます
- XLPは減配する回数は少ないが増配の幅も小さく、少しづつ増配していく
- VDCは2年に1度のペースで減配するが、増配時は大幅に増配する
両者の配当金額を2011年と比較すると、
XLPは1.9倍、VDCは2.3倍になっています。
生活必需品セクターETFの選び方
最後に、せーじんの考える生活必需品セクターETFの選び方を紹介したいと思います。
機関投資家のような大規模な資産を運用しており、非常に高い流動性を重要視している
⇨資産総額と出来高が圧倒的に高いXLPがおすすめ
上記に当てはまらない、一般的な個人投資家
⇨わずかだが経費が安く、分散が効いていて少しだけリターンの高いVDCがおすすめ
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以上【VDC、XLP】暴落に強い生活必需品セクターは配当王・配当貴族の増配株ETF!という話題でした。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。