配当金が毎年増えたら、どう思う?
どうって、毎年収入が増えたら、それは嬉しいでしょう。
配当狙いの投資にもそういう考え方があります。
現時点での高配当株ではなく、何年も連続して増配(または減配していない)銘柄へ投資し、将来の高配当を手に入れるというものです。
今日は、そんな増配株にまとめて投資できるETF、
バンガード・米国増配株式ETF(VIG)
についてのお話です。
増配銘柄と高配当銘柄は、実は全然違うんです
増配銘柄=高配当銘柄じゃないの?
ちょっとよくわかんないんだけど、何年も増配してる銘柄って高配当銘柄じゃないの?
どういうこと?
だってさ、何年も増配し続けたら高配当になっていくでしょ
それが、そうならない場合があるんだよ。
そして、そうならない銘柄が、とてもいい投資対象なんだよ。
米国ナンバーワンの増配銘柄AWRの場合
例えば、アメリカンステーツウオーター(AWR)を例に考えてみましょう。
AWRは65年連続で増配しており、連続増配株の多い米国の中でも増配年数ナンバーワンの銘柄です。
ところがこのAWR、配当利回りは1.64%しかないんです。
えー、なんでよ!
配当利回りの計算を思い出しましょう。
年間配当額が増えているのに、配当利回りが上がらないということは、、、
株価が上がってるんです!
AWRの長期チャートはこうなっています。
うわあ!とんでもない上がり方!
これは1972年からの約50年くらいのチャートだけど、S&P500の10倍上がっているね
増配しても高配当にならないのは、株価が上昇しているから
なるほどね。
配当は上がっても配当利回りが上がらないのは、株価が上昇しているからなんだね。
その通り!
ちなみに日本の1位は花王の30年連続増配ですが、配当利回りは1.86%と低めです。
VIGは、コロナショックを超えてしっかり増配
直近5年間の配当額を確認しましょう。
青い棒グラフで示した配当額は、順調に右肩上がりとなっています。
さすがは増配株ETFですね。
2020はコロナショックがあったのですが、しっかり増配しています。
緑の折れ線グラフは増配率です。
増配率も2019年に少し落ちましたが、ほぼ右肩上がりですね。
2020はなんと最大の増配率となっています。増配株は暴落にも強いと言えそうです。
上のグラフを表にしました。
年 | 年間配当 | 増配 | 増配率 |
2020 | $2.2965 | $0.1626 | 7.62% |
2019 | $2.1339 | $0.0962 | 4.72% |
2018 | $2.0377 | $0.1186 | 6.18% |
2017 | $1.9191 | $0.0931 | 5.10% |
2016 | $1.8260 | $0.0070 | 0.38% |
配当利回りを計算してみましょう。
やっぱり配当利回りは低いんだね
VOOと同じくらいだね
チャートを確認してみましょう
それでは、チャートを確認しましょう。
比較のために、S&P500も入れてあります。
1年チャート、コロナショックの下落はS&P500と同じくらい
1年間の値動きはどうだったかな?
うーん、思ったより値上がりしてないね
この1年間の値動きをS&P500と比較すると、
- コロナショック時の下落は、S&P500とほぼ同じ
- コロナ後の回復はS&P500よりもやや遅れている
コロナ後の回復は、小型ハイテクやクリーンエネルギーなどが大きく伸びましたが、いずれもVIGには含まれない銘柄ですね。
5年間を見ても、一貫してS&P500が上
コロナ前から、一貫してS&P500の方が値が高いことがわかります。
配当込みリターンでも、同じ傾向ですね
1年間の配当込みリターンをチャートにしましょう。
トータルリターンでは1年間で6.5%の差がついてしまっています。
ただ、ボラティリティが低いので、安定感はありますね。
VIGは2006年設定の歴史あるETF。信託報酬は0.06%と格安
それでは、VIGの概要を見ていきましょう。
バンガード・米国増配株式ETF(VIG) | |
運営会社 | バンガード |
設定日 | 2006/04/21 |
資産総額 | 535億3000万ドル (2020/12/31 現在) |
分配金 | 1.61% |
経費率 | 0.06% |
設定日は2006年ですから、15年の歴史があります。
この間にリーマンショックとコロナショックの2つの暴落をくぐり抜けてきています。
資産規模が535億ドルですから、非常に大きな規模のETFです。
流動性の問題も気にする必要はありませんね。
長期保有に適したETFですね。
VIGの構成銘柄を確認しよう
VIGは212銘柄から構成されています。
銘柄数はしっかり確保していますね。
その内訳を確認していきましょう。
組入上位10銘柄
順位 | 保有銘柄 | シンボル | 構成比 |
1 | Microsoft Corp. | MSFT | 4.330 % |
2 | Walmart Inc. | WMT | 4.222 % |
3 | Procter & Gamble Co. | PG | 3.748 % |
4 | Johnson & Johnson | JNJ | 3.691 % |
5 | Visa Inc. Class A | V | 3.644 % |
6 | UnitedHealth Group Inc. | UNH | 3.628 % |
7 | Walt Disney Co. | DIS | 3.568 % |
8 | Home Depot Inc. | HD | 3.160 % |
9 | Comcast Corp. Class A | CMCSA | 2.597 % |
10 | Oracle Corp. | ORCL | 2.263 % |
1位はマイクロソフト、2位以下もウオルマート、P&G、ジョンソンエンドジョンソンなど米国の伝統的な大企業がなを連ねています。
比率を見ると、1位のマイクロソフトでもわずか4.3%、上位5銘柄を足しても20%程度
大きな偏りがなく、非常によく分散されています
セクター別に見ても、消費財、ヘルスケア、テクノロジーとバランスよく分散しています。
ただし、テクノロジーの比率が低めのためS&P500よりも成長が低いということになります。
まとめ
今回は、米国の増配株にまとめて投資できるETF、VIGを紹介しました。
配当に関してはコロナショックにも負けずに増配を続ける力強さがあります。
しかし、株価はS&P500と比較しても特段の強さを感じません。
コロナショック時は同じくらい下落しています。
- 経費が0.06%と非常に安い
- 米国の大企業にバランスよく分散投資できる
- 流動性も十分にある
- ボラティリティが低い
という特徴を持っており、安心して保有できるETFですね。
以上、VIGは高配当株投資?いえ、増配株投資です。魅力と構成銘柄を解説という話題でした。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。