こんにちは、せーじんです。
今日は、米国の超高配当株・エイリスキャピタル(ARCC)について、詳しく解説していきましょう。
ARCCって、前にも聞いた頃あるような
うん。この記事で軽く紹介したよ。
ARCCは、暴落時以外は株価の安定感が抜群なんだよ。
2021年10月までは、この銘柄にしては珍しく株価が急騰してたけどね
へえ、超高配当+落ち着いた株価ね
積立にもちょうどいい!
けど、残念なお知らせです
ARCCを買える唯一の国内証券会社である楽天証券から、このようなお知らせが出ていました。
ええ!ARCCに投資できなくなっちゃうじゃん
そう、2021年12月3日以降は買えなくなっちゃうんだよ!
すでに保有している人は、継続保有はできそうだけどね
ARCCとは、ベンチャー企業等に資金を融資する専門金融会社
ARCCってどんな会社なの?
ベンチャーや中小の企業に資金を融資したり投資したりする専門金融会社(BDC)だよ
エイリスキャピタル(ARCC)は管理投資会社で、米国内の中堅企業の株式や債券に投資し、顧客の資金調達ニーズに対応する会社です。
米国BDCでは最大の規模を誇っています。
BDCとはBusiness Development Companyの略称です。
BDCは中堅企業や新興企業等の事業開発を金融面及び経営面からサポートする投資会社です。
利益の90%以上を投資家に配当として分配することで、法人所得税を免除されます。
このため、非常に高い配当収入が期待できます。
ARCCの投資先は、どういうところかな?
ARCCの投資先は優先担保付社債が大半を占め、株式投資はわずか
BDCの投資先は、銀行等からの借り入れが難しいベンチャーや中小企業です。
ベンチャーや中小企業への投資は、破綻など大きなリスクを伴います。
破綻の際にもある程度の資本の回収ができるよう、
安全な資産クラスへの投資が大きな割合を占めています。
企業が破綻した場合の、投資家への返済は以下の順で行われます。
- 優先担保付社債
- 一般社債
- 劣後債
- 株式
ARCCは、返済順序が上位に位置する優先担保付社債を中心に投資しており、
資産の安全性を確保するよう配慮しています。
投資先のポートフォリオはこのようになっています。
投資先クラス | 割合(%) |
---|---|
第一順位優先担保社債 | 47.1 |
第二順位優先担保社債 | 25.4 |
シニア ダイレクト レンディング プログラム | 6.9 |
シニア劣後債 | 5.9 |
優先株式 | 5.6 |
その他の株式 | 9.1 |
- 2021年3月31日現在のデータです
優先担保付社債に4分の3くらい投資してるんだね。これなら安全そう
グラフにするとこうなるよ
セクター構成を見ると、ヘルスケアやソフトウェアを中心に多くのセクターへ投資している
BDC最大手のARCCは、資産の安全性を向上させるために、セクター分散にも気を配っています。
ヘルスケア、ソフトウェア、コマーシャルなど
様々な業界の350もの会社に投資しています。
ほんとに、たくさんのセクターに分散してるんだね
15セクター+その他だからね。ここでも安全性には気を遣ってるよね
セクター | 割合(%) |
---|---|
ソフトウェア | 15.3 |
ヘルスケア | 15.2 |
商業・専門サービス | 8.6 |
投資ファンド | 7.1 |
耐久消費財とアパレル | 6.7 |
消費者サービス | 6.4 |
自動車・部品 | 6.3 |
金融 | 6.2 |
発電 | 5.4 |
保険サービス | 4.6 |
資本財 | 4.0 |
エネルギー | 2.6 |
食品、飲料、タバコ | 2.1 |
小売および流通 | 1.8 |
材料 | 1.7 |
その他 | 6.0 |
投資先は大部分が米国内
次は、投資先の地域を確認してみよう。
地域 | 割合(%) |
---|---|
米国(中西部) | 28.2 |
米国(西部) | 26.5 |
米国(南東部) | 21.5 |
米国(中部大西洋) | 16.8 |
米国(北東部) | 4.0 |
国際(米国以外) | 3.0 |
項目は多いけど、ほとんどアメリカだね
「国際」以外は全部アメリカだから、97%は米国内への投資ということになるね
コロナ禍の影響を受けて、業績は落ち込む見込み
やっぱり、2020年はコロナ禍の影響をもろに受けてるね
ARCCは、2019年12月までは売り上げ、利益とも順調に成長していました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年の利益は大きく落ち込んでしまいました。
そんな2020年も、売上高は2019年以前の水準を維持しています。
そして、利益の落ち込みは一時的なもので、2021年には元の水準に戻すと予想されています。
配当金をチェック!
ARCCは年間利回り9%の超高配当銘柄
ARCCって、高配当なんだよね。配当の話をしようよ
そうだね。配当利回り9%の超高配当銘柄の配当履歴をチェックしよう
年 | 平均利回り | 最大利回り | 最小利回り |
---|---|---|---|
2021年 | 8.26% | 9.69% | 7.42% |
2020年 | 11.24% | 20.54% | 8.74% |
2019年 | 8.99% | 10.11% | 8.46% |
2018年 | 9.28% | 10.50% | 8.71% |
2017年 | 9.18% | 9.73% | 8.56% |
2016年 | 10.32% | 12.56% | 9.04% |
2015年 | 9.84% | 11.27% | 8.97% |
2014年 | 9.57% | 10.77% | 8.56% |
2013年 | 9.17% | 9.99% | 8.64% |
2012年 | 9.03% | 9.92% | 8.35% |
2011年 | 9.63% | 10.74% | 8.93% |
ここ10年間の配当利回りを見ると、ARCCの配当利回りは、平常時は8.3%〜12.5%の間で上下しています。
配当利回りがこんなに変化するのは、株価が日々変動するからです。
ですから、株価が変動すると配当利回りも変動していきます。
コロナショック時は、一時20.54%まで上昇しましたよ。
これは株価が大きく下落したためです
配当金は、2019年以降は減配なし
年間配当額の推移を見てみましょう
年 | 配当額 | 年末利回り | 増配率 |
---|---|---|---|
2020年 | $1.5844 | 9.58% | -5.69% |
2019年 | $1.6800 | 10.23% | 9.09% |
2018年 | $1.5400 | 12.30% | 1.32% |
2017年 | $1.5200 | 13.21% | 0.00% |
2016年 | $1.5200 | 13.81% | -3.18% |
2015年 | $1.5700 | 18.26% | 0.00% |
2014年 | $1.5700 | 18.41% | 0.00% |
2013年 | $1.5700 | 17.74% | -1.88% |
2012年 | $1.6000 | 20.08% | 13.48% |
2011年 | $1.4100 | 22.07% | 0.71% |
2010年 | $1.4000 | 22.48% | -4.76% |
2009年 | $1.4700 | 34.33% | -12.50% |
2008年 | $1.6800 | 96.90% | 1.20% |
2007年 | $1.6600 | 49.30% | 1.22% |
2006年 | $ 1.6400 | 41.21% | 26.15% |
今でも10%近い高配当だけど、前はもっとすごい高配当だったんだね
配当額自体は増配や減配を繰り返しているけど、ほぼ横ばいだね
2008年の配当利回りが、96%?こんなのありえるの?
この時は、リーマンショックで株価が86%も下がっちゃったんだよ。それで配当利回りが極端に上がったということだね
86%下落!!
減配していない、けれど利回りが急降下中
そんな高配当のARCCですが、2020年11月ごろから配当利回りが急降下中なんです。
先ほど、2020年はコロナショック時を除き配当利回りが8.3%〜11.5%で推移していたとお話をしました。
最低でも8.3%はあったわけです。
それが現在の配当利回りは、この通り
7.98%?
2020年の最低水準8.3%以下になっちゃってるね?
配当額が変わってないのに、利回りが下がっているということは、、、?
株価がすんごい上がってるってこと!?
株価の動きを見ていきましょう
次に株価を見てみましょう。
配当以上に株価が下がっちゃったら、投資の意味がないからね
S&P500のETF(SPY)を比較対象にします。
2021年初来で25%の上昇!S&P500並みの上昇率!
まずは2021年初来の株価チャートを見てみましょう。
黒:ARCC 黄:S&P500(SPY)
おお!年初来で25%も上昇!?
S&P500は年初来でかなり好調なんだけど、それと比べても見劣りしないくらい上がってるね
超高配当なのに、株価の超高成長、、、今すぐ買わなきゃ!
ちょっと待ちなされ。もうちょい確認していこう
2020年最初からの株価上昇率は、S&P500を下回る
2020年初来の株価チャートを見てみましょう。
黒:ARCC 黄:S&P500(SPY)
あれれ、S&P500よりも株価が上がってないね
まあ、ARCCは高配当目的に持つものだからね
この記事の初めに、
ARCCは(普段は)株価が安定している
と書きましたが、それは上昇も下落もあまりしないということ。
キャピタルゲイン(売却益)でなく、インカムゲイン(配当益)を目的としているんですね。
そうだった。それにしてもコロナショックの落ち込みがすごいね
BDC銘柄は経済危機に極端に弱い性質があるんだよ
BDCは経済危機に弱い!でもそれがチャンス!
コロナショックでは58%下落!
コロナショック時のチャートを確認しましょう。
黒:ARCC 黄:S&P500(SPY)
コロナショック時の下落率を比較しましょう
銘柄 | 下落率 |
---|---|
ARCC | ▲58% |
S&P500 | ▲34% |
うわ!すごい下落だね!
S&P500よりも、かなり大きく下落してるでしょ?
リーマンショック時は86%下落!
では、リーマンショック時はどうでしょう。
リーマンショックは、もっとすごいよ〜
黒:ARCC 黄:S&P500(SPY)
S&P500が58%下落している中、ARCCは86%下落!
100万円投資してたら、14万円になってたの?あわわわ
この時は流石に減配していますが、それでも底値で計算した配当利回りは96%を超えていたようです。
株価が86%も下落したのに、13%ほどの減配で済んだのは、ARCCが頑張ってくれたのでしょうね
暴落時に買えれば、お宝株になる
ARCCの値動きにはこのような特徴があります。
- 普段の値動きはゆったりとしている
- 暴落時は指数なんて目じゃないほど大幅に下落
- 暴落からの回復期は大幅に上昇
暴落時に仕込めれば、値上がり益と超高配当を両方ともいただけちゃうんです。
今回のコロナショックでは、せーじんもこれを狙っていましたが、、、
リーマンショックくらい落ちるのを狙っていたら、そこまで落ちず。
少ししか買えませんでした。
長期的に見てみよう!上場来(2004年)チャートを確認
PSECって、しばらく減配してるよね。長期チャートも気になるなあ
そうだよね。長期的に下落傾向だと、例え高配当でも資産形成にならないもんね
ARCCが上場した2004年以降のチャートを確認しましょう。
黒:ARCC 黄:S&P500(SPY)
黒のARCCは、リーマンショックとコロナショック以外はほぼ平坦だね
でしょ?そういた暴落時以外はあまり値動きがないのが特徴だね
楽天証券でも、2021年12月に取扱終了!
実はARCCを始めとしたBDC銘柄は、日本の大手証券会社では楽天証券しか取り扱っていません。
ですが記事の冒頭に説明した通り、その楽天証券でも2021年12月3日(金)よりARCCを買うことができなくなります。
これで、国内証券でARCCをはじめとしたBDCを買うことはできなくなりました
ちなみに、SBI証券は2021年1月7日付でこのような通知が出ています。
マネックス証券は以前は取り扱っていましたが、2020年11月13日付で取扱を停止したようです。
【米国株】一部銘柄の新規買付(取扱い)停止について
配信日:2020年11月13日
当社の米国株取扱い銘柄の一部において、国内の取扱いに際しては運用会社もしくは発行体から金融庁長官に対しての届出が必要となる銘柄にも関わらず、届出がされていない状態で取扱可能と判断し、お客様のご注文をお受けしていることが発覚いたしましたのでお知らせいたします。
内容
本事象の発覚を受け、急なご連絡となりますが、当社では、本日11月13日(金)より、これらの該当銘柄の新規買付を停止することとなりましたのでご連絡申し上げます。なお、買付のご注文は同日夜に失効しております。また、買付の期間指定注文も同様に市場に発注されませんが、注文の取消は行いませんので、お手数ですがお客様ご自身で取消をお願いいたします。
当社の確認が不十分なことにより、このような対応となることをお詫び申し上げます。
- 対象の銘柄は本文最下部の表をご覧ください。
- 現在保有されている該当銘柄の株式は継続して保有いただけます。
- 該当銘柄の売却のご注文については、特段の制限等は行いませんので、これまで通りご注文が可能です。
いずれの銘柄も多くのお客様にお取引いただいている銘柄で、お客様のご要望に最大限応えていきたいという姿勢に変わりはないものの、国内事業者が順守すべき制度上ご注文をお受けすることができない銘柄であることから、当社としては、お客様の資産保護ならびに法令順守を最優先とすべく、速やかに新規買付の停止を行う必要があると判断いたしました。
この度の急な決定および対応につきましては、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
なお、ご不明点等がございましたら、下記当社コールセンターまでご連絡ください。
また、本件に関するご要望やご意見等がございましたら、以下のフォームよりお客様のご意見・ご要望をお寄せください。
新規買付け(取扱い)停止とする銘柄一覧
シンボル | 名称 |
---|---|
ARCC | ARES CAPITAL CORP |
出典元:マネックス証券
楽天証券で取り扱えなくなったのも、マネックスと同じ理由でしょう。
BDC銘柄への投資を検討している方、お急ぎくださいませ〜
まとめ
エイリスキャピタル(ARCC)は管理投資会社で、米国内の中堅企業の株式や債券に投資し、顧客の資金調達ニーズに対応する会社で、米国BDCでは最大規模の会社です。
BDCとは新興企業等を金融面及び経営面からサポートする投資会社のことで、利益の90%以上を投資家に配当として分配することで、法人所得税を免除されます。
ARCCは、通常でも8〜11%ほどの配当利回りを得られる超高配当株です。
普段の値動きはゆったりとしていますが、暴落時には大きく下落し、回復期は大きく回復する性質があります。
暴落時に仕込めれば値上がりと配当の両方を狙えるお宝になります。
が、経済危機の際は経営危機の懸念から、とてもスリリングな投資になります。
せーじんは、コロナ時に値下がりを狙いすぎて少ししか買えませんでした。
ARCCはSBI証券やマネックス証券では買うことができません。
さらに、2021年12月3日(金)以降は楽天証券でも買い注文ができなくなるので、国内証券からは投資ができなくなります。
せーじんのポートフォリオ
せーじんの資産状況と取引履歴を、毎月紹介しています。
ETF、レバレッジ投資信託、CFDのリターン比較実験
4月から、ETF・レバレッジ投資信託・CFDのリターン比較実験をしています。
毎月経過を報告していますので、ぜひご覧ください。
どれが一番儲かるのかな〜?
【ARCC】まもなく投資できなくなる!平均利回り9%の超高配当株という話題でした。
CURE、TECLのようなレバレッジをかけた投資をするなら、CFDも検討したいですね。
CUREやTECLの3倍レバレッジですが、CFDはそれより高い10倍レバレッジをかけることができます、
取引時間はほぼ24時間。
夕食後のゆっくりした時間や通勤の電車の中、祝日でも取引することができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。