こんにちは、せーじんです。
日本にも、米国にも、株式市場に関するさまざまなアノマリーがあります。
その中でも、最も有名なものの一つが、
というアノマリーです。
あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか?
聞いたことあるよ。5月に株を売れ、でしょ?
直訳するとそうなんだけどね。
このアノマリーは続きが重要なんだよ
今日は、投資のアノマリー「セル イン メイ」について、
重要なこの続きを紹介するとともに、
本当に当たるのか本気で検証していきましょう。
アノマリーとは、論理的に説明できないが、なぜかそうなるという経験則
ところで、アノマリーってなんだっけ?
アノマリーっていうのは、論理的に説明できないことだね
本来のアノマリーという言葉はこういう意味です。
アノマリー(anomaly)とは、ある法則・理論からみて異常であったり、説明できない事象や個体等を指す。
科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む。
すでに説明できるようになった現象でも、アノマリーあるいは異常という名称がそのまま残ったものも多い。
出典元:wikipedia
投資の世界でのアノマリーという言葉も、ほぼ同じ意味合いで使われます。
論理的な説明ができないが、当たることが多いとされている経験則。
日本で有名なアノマリーは、節分天井彼岸底などが広く知られています。
米国でも、今日紹介するセルインメイなど多くのアノマリーがあります。
セルインメイは続きが重要
セルインメイの全文
セルインメイの格言の全文を紹介しましょう。
Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day.
(5月に株を売って市場から去れ、そしてセントレジャーデーまで帰ってくるな)
セントレジャーデー?
9月の第2土曜日のことだよ。米国では、この日に競馬の大きなレースがあるらしいよ。
セントレジャーデーまで帰ってくるな
セントレジャーデーまで帰ってくるな、てどういうこと?
逆に考えると、この日になったら帰ってこいってことだよね
ということは、このアノマリーはこういうことを言っているのかな。
- 5月中に株を売っておくべし=5月以降は株式市場が下がりやすい
- 9月第2土曜になったら帰ってこい=9月下旬以降は株価が上がりやすい
ふむふむ。で、これって本当に当たってるの?
じゃあ、本気で検証していきましょう!
S&P500の的中率は、あまり高くはない
S&P500の10年間チャート(2010から2021まで)を見てみましょう。
毎年、5月-9月を青く表示しています。
このチャートを使って、それぞれの年で「セルインメイ」が当たっているか確認していきましょう。
表の見方
「△」は株価上昇、「▼」は株価下落、「ー」はほぼ横ばいを表しています。
「判定」の項目は、セルインメイのアノマリー通りになったら「○」と表記します。
株価 | セルインメイ | 判定 | |
2010年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2010年10月−2011年4月 | △ | △ | ○ |
2011年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2011年10月−2012年4月 | △ | △ | ○ |
2012年5月−9月 | △ | ▼ | |
2012年10月−2013年4月 | △ | △ | ○ |
2013年5月−9月 | △ | ▼ | |
2013年10月−2014年4月 | △ | △ | ○ |
2014年5月−9月 | △ | ▼ | |
2014年10月−2015年4月 | △ | △ | ○ |
2015年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2015年10月−2016年4月 | △ | △ | ○ |
2016年5月−9月 | △ | ▼ | |
2016年10月−2017年4月 | △ | △ | ○ |
2017年5月−9月 | △ | ▼ | |
2017年10月−2018年4月 | △ | △ | ○ |
2018年5月−9月 | △ | ▼ | |
2018年10月−2019年4月 | ▼ | △ | |
2019年5月−9月 | △ | ▼ | |
2019年10月−2020年4月 | ー | △ | |
2020年5月−9月 | △ | ▼ | |
2020年10月−2021年3月15日 | △ | △ | ○ |
22回中12回でアノマリー通りになっています。
アノマリーの的中率は54.5%ですね
アノマリー通りの年が多いね!でも、最近は外れることが多いみたい
2016年まではほぼ必ず当たっていたけど、それ以降はあまり当たっていないね
この表を見てもチャートを見てもわかるけど、株価って上がり続けてるんだね
そう。だから、少しでも早く投資を始めるのが、資産形成への近道なんだよね
アノマリー的中率は54.5%と、物足りない数字。
特に2016年以降は、ほとんど的中していない
ナスダック100の的中率は、S&P500よりマシだけど
続いて、ナスダック100も確認してみましょう。
表の見方
「△」は株価上昇、「▼」は株価下落、「ー」はほぼ横ばいを表しています。
「判定」の項目は、セルインメイのアノマリー通りになったら「○」と表記します。
株価 | セルインメイ | 判定 | |
2010年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2010年10月−2011年4月 | △ | △ | ○ |
2011年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2011年10月−2012年4月 | △ | △ | ○ |
2012年5月−9月 | △ | ▼ | |
2012年10月−2013年4月 | △ | △ | ○ |
2013年5月−9月 | △ | ▼ | |
2013年10月−2014年4月 | △ | △ | ○ |
2014年5月−9月 | △ | ▼ | |
2014年10月−2015年4月 | △ | △ | ○ |
2015年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2015年10月−2016年4月 | △ | △ | ○ |
2016年5月−9月 | △ | ▼ | |
2016年10月−2017年4月 | △ | △ | ○ |
2017年5月−9月 | △ | ▼ | |
2017年10月−2018年4月 | △ | △ | ○ |
2018年5月−9月 | △ | ▼ | |
2018年10月−2019年4月 | ▼ | △ | |
2019年5月−9月 | △ | ▼ | |
2019年10月−2020年4月 | △ | △ | ○ |
2020年5月−9月 | △ | ▼ | |
2020年10月−2021年3月15日 | △ | △ | ○ |
22回中13回でアノマリー通りになっています。
アノマリーの的中率は59.1%ですね
ナスダックもS&P500と同じで、最近は外れることが多いね
そうだね。S&P500との違いは、2019年10月ー2020年4月の区間がプラスになっているところだけ。あとは全て同じだね
アノマリー的中率は59.1%と、S&P500より高いもののやはり物足りない数字。
特に2016年以降は、ほとんど的中していない
日経平均の的中率は、50%以下
表の見方
「△」は株価上昇、「▼」は株価下落、「ー」はほぼ横ばいを表しています。
「判定」の項目は、セルインメイのアノマリー通りになったら「○」と表記します。
株価 | セルインメイ | 判定 | |
2010年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2010年10月−2011年4月 | △ | △ | ○ |
2011年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2011年10月−2012年4月 | ー | △ | |
2012年5月−9月 | ー | ▼ | |
2012年10月−2013年4月 | △ | △ | ○ |
2013年5月−9月 | △ | ▼ | |
2013年10月−2014年4月 | ー | △ | |
2014年5月−9月 | △ | ▼ | |
2014年10月−2015年4月 | △ | △ | ○ |
2015年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2015年10月−2016年4月 | ▼ | △ | |
2016年5月−9月 | ー | ▼ | |
2016年10月−2017年4月 | △ | △ | ○ |
2017年5月−9月 | ー | ▼ | |
2017年10月−2018年4月 | △ | △ | ○ |
2018年5月−9月 | △ | ▼ | |
2018年10月−2019年4月 | ▼ | △ | |
2019年5月−9月 | △ | ▼ | |
2019年10月−2020年4月 | ー | △ | |
2020年5月−9月 | △ | ▼ | |
2020年10月−2021年3月15日 | △ | △ | ○ |
22回中9回でアノマリー通りになっています。
アノマリーの的中率は41%ですね
日経平均は、アノマリーの的中率が低いね。
50%切っちゃったよ。
やっぱり米国のアノマリーだから、かなあ。
アノマリー的中率は41%と、あまり当たっていない。
特に2016年以降は、ほとんど的中していない
中国(香港ハンセン指数)の的中率も高くはない
表の見方
「△」は株価上昇、「▼」は株価下落、「ー」はほぼ横ばいを表しています。
「判定」の項目は、セルインメイのアノマリー通りになったら「○」と表記します。
株価 | セルインメイ | 判定 | |
2010年5月−9月 | △ | ▼ | |
2010年10月−2011年4月 | ー | △ | |
2011年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2011年10月−2012年4月 | ▼ | △ | |
2012年5月−9月 | △ | ▼ | |
2012年10月−2013年4月 | △ | △ | ○ |
2013年5月−9月 | ー | ▼ | |
2013年10月−2014年4月 | ー | △ | ○ |
2014年5月−9月 | ー | ▼ | |
2014年10月−2015年4月 | △ | △ | ○ |
2015年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2015年10月−2016年4月 | ー | △ | ○ |
2016年5月−9月 | △ | ▼ | |
2016年10月−2017年4月 | △ | △ | ○ |
2017年5月−9月 | △ | ▼ | |
2017年10月−2018年4月 | △ | △ | ○ |
2018年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2018年10月−2019年4月 | ▼ | △ | |
2019年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2019年10月−2020年4月 | ▼ | △ | |
2020年5月−9月 | △ | ▼ | |
2020年10月−2021年3月15日 | △ | △ | ○ |
22回中11回でアノマリー通りになっています。
アノマリーの的中率は50%ですね
うーん、これもあまり当たっているようには見えないねえ
金も調べてみよう
表の見方
「△」は株価上昇、「▼」は株価下落、「ー」はほぼ横ばいを表しています。
「判定」の項目は、セルインメイのアノマリー通りになったら「○」と表記します。
株価 | セルインメイ | 判定 | |
2010年5月−9月 | △ | ▼ | |
2010年10月−2011年4月 | △ | △ | ○ |
2011年5月−9月 | △ | ▼ | |
2011年10月−2012年4月 | ▼ | △ | |
2012年5月−9月 | △ | ▼ | |
2012年10月−2013年4月 | ▼ | △ | |
2013年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2013年10月−2014年4月 | ▼ | △ | |
2014年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2014年10月−2015年4月 | ▼ | △ | |
2015年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2015年10月−2016年4月 | △ | △ | ○ |
2016年5月−9月 | △ | ▼ | |
2016年10月−2017年4月 | ▼ | △ | |
2017年5月−9月 | △ | ▼ | |
2017年10月−2018年4月 | △ | △ | ○ |
2018年5月−9月 | ▼ | ▼ | ○ |
2018年10月−2019年4月 | △ | △ | ○ |
2019年5月−9月 | △ | ▼ | |
2019年10月−2020年4月 | △ | △ | ○ |
2020年5月−9月 | △ | ▼ | |
2020年10月−2021年3月15日 | ▼ | △ |
22回中9回でアノマリー通りになっています。
アノマリーの的中率は41%ですね
5月とか9月とか全然関係なく、もっと大きな波で動いてる感じだね
金は年末に上がる傾向はありそうだけどね、セルインメイは関係なさそうだね
アノマリー的中率は41%と、かなり低い。
アノマリーはほとんど的中していない
ビットコインの的中率は、逆に奇跡
ビットコインは値上がりが強烈すぎて、通常のチャートだと前半部分の値動きが非常にわかりにくいです。
そこで、ここではログチャートで表示します。
また、ビットコインだけは5年間のデータとなります。
表の見方
「△」は株価上昇、「▼」は株価下落、「ー」はほぼ横ばいを表しています。
「判定」の項目は、セルインメイのアノマリー通りになったら「○」と表記します。
株価 | セルインメイ | 判定 | |
2015年5月−9月 | ー | ▼ | |
2015年10月−2016年4月 | △ | △ | ○ |
2016年5月−9月 | △ | ▼ | |
2016年10月−2017年4月 | △ | △ | ○ |
2017年5月−9月 | △ | ▼ | |
2017年10月−2018年4月 | △ | △ | ○ |
2018年5月−9月 | ー | ▼ | |
2018年10月−2019年4月 | ー | △ | |
2019年5月−9月 | ー | ▼ | |
2019年10月−2020年4月 | ー | △ | |
2020年5月−9月 | △ | ▼ | |
2020年10月−2021年3月15日 | △ | △ | ○ |
ビットコインは、アノマリー通りになったのが12回中たったの4回!
アノマリーの的中率は33.3%です。
ここまで外れるってすごいよね。
単純な確率と同じ的中率しかないのね
各投資先の検証結果をまとめると
ここまでの検証結果をまとめると、こうなります。
投資先 | 的中率 |
S&P500 | 54.5% |
ナスダック100 | 59.1% |
日経平均 | 41% |
香港ハンセン指数 | 50% |
金 | 41% |
ビットコイン | 33.3% |
どれも、パッとしないね
そうだねえ。2016年以前はかなり的中してたんだけど、それ以降はあまり当たらなくなってきてるね
まとめ
投資の世界で、ほぼ最高の知名度を誇るアノマリー
「セルインメイ」
を検証しました。
セルインメイには続きがあり、このような文章となります。
Sell in May, and go away. Don’t come back until St Leger day.
(5月に株を売って市場から去れ、そしてセントレジャーデーまで帰ってくるな)
セントレジャーデーとは、9月第2土曜日です。
つまり、このセルインメイとは、
という意味合いなんです。
では、これが本当に正しいのか過去10年間のデータから検証してみました。
すると、結果はこの表の通り
投資先 | 的中率 |
S&P500 | 54.5% |
ナスダック100 | 59.1% |
日経平均 | 41% |
香港ハンセン指数 | 50% |
金 | 41% |
ビットコイン | 33.3% |
米国の2指数は50%を超えましたが、60%には届かない程度の確率。
それ以外は50%以下の的中率しかありませんでした。
ただし、2016年以前のデータを見ると特に米国の指数はかなり高い的中率でした。
機関投資家によるアルゴリズム売買の普及・発展や、
アノマリー自体の知名度が上昇したことにより、
このアノマリーは過去のものになりつつあるのかもしれません。
まあ、売買に迷った時の参考にする程度でいいんじゃないでしょうか
以上、本当に当たる?アノマリー界の王者「セルインメイ」を本気で検証!という話題でした。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。