こんにちは、せーじんです。
3/23に報道された日銀のETF買い入れ方針の変更、これはビッグニュースだよ!
えーと、なんの話でしたっけ?
ETF買い入れ、4月1日からTOPIX連動型に一本化=日銀
ロイター編集
3月23日、 日銀は上場投資信託(ETF)の買い入れについて、4月1日からTOPIX連動型のみに変更すると発表した。(2021年 ロイター/Yuriko Nakao)
日銀は23日、上場投資信託(ETF)の買い入れについて、4月1日からTOPIX連動型のみに変更すると発表した。
日銀は19日、政策点検の結果、ETFの買い入れについてTOPIX連動型に一本化すると発表した。会合後初の営業日となった22日、日銀は通常のETF501億円を買い入れたものの、市場関係者によると日銀は日経平均連動型のETFも買い入れていた。
日銀は22日付で財務省、金融庁からETF買い入れ手法の変更に伴う認可を取得したことも発表した。
出典元:ロイター
へー、日本銀行が日経平均のETFを買うのを辞めちゃうんだね
そうなの。これで、株価の動きが今までとは大きく変わる可能性があるよ
日銀がETFを買っているのは、脱デフレと景気刺激のため
そもそも、どうして日銀がETFを買っているの?
日本が異次元の金融緩和をしているっていう話はしたことがあると思うけど、その金融緩和の一環として行っているよ
ETF買い入れを通して市場で流通するお金を増やすことができる
流通するお金を増やす目的は、
- 物価の安定(=デフレからの脱却)
- 景気刺激(=金利を低く抑え、設備投資を促す効果)
買い入れ開始は2010年、10年間で買い入れ規模は26倍に!
日銀によるETFの買い入れが始まったのは、2010年です。
包括的な金融緩和政策の名の下に行われた政策の1つです。
この時、日本銀行が発出した文書がこちらです。
2010年10月5日付文書 「包括的な金融緩和政策」の実施について
もう10年以上前からやってるんだね
2010年当時、買い入れの規模は、4500億円程度でした。
その後、買い入れ額の増額、異次元の金融緩和開始などにより買い入れ規模は急速に拡大していき、
2021年現在、その規模は6兆円にまで拡大しています。
26倍になったの!?
なぜ日経平均の買い入れを止めるの?
2021年4月1日以降、日銀は日経平均ETFの買い入れを中止することを発表しました。
2021年3月23日日本銀行発出文書「ETFの買入れの運営について」
日銀は日経平均のETF買い入れをやめる理由について、明らかにしていませんが、日銀の文書を読めばその真意はよくわかります。
文書の中に、このような表現があります。
ETF買入れについては、今後、指数の構成銘柄が最も多いTOPIXに連動するもののみを買入れることとする。
2021年3月19日付日本銀行文書「より効果的で持続的な金融緩和について」
マーカーをつけた部分、「指数の構成銘柄が最も多い」という部分です。
これが日銀が日経平均の買い入れをやめた理由ですね。
日経平均とTOPIXの構成銘柄を比較しましょう。
No. | 銘柄(TOPIX) | 比率 | 銘柄(日経平均) | 比率 |
1 | トヨタ自動車 | 3.04% | ファーストリテイリング | 12.77% |
2 | ソフトバンクグループ | 2.93% | ソフトバンクグループ | 7.22% |
3 | ソニー | 2.65% | 東京エレクトロン | 5.29% |
4 | キーエンス | 1.89% | ファナック | 3.20% |
5 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 1.43% | ダイキン工業 | 2.52% |
6 | 任天堂 | 1.41% | エムスリー | 2.46% |
7 | リクルートホールディングス | 1.38% | KDDI | 2.40% |
8 | 日本電産 | 1.24% | アドバンテスト | 2.13% |
9 | 日本電信電話 | 1.20% | 信越化学工業 | 2.11% |
10 | 信越化学工業 | 1.20% | リクルートホールディングス | 1.93% |
TOPIX全2192銘柄 | 日経平均全255銘柄 |
構成銘柄数が、TOPIXが2192銘柄で、日経平均が255銘柄!
全然違う!
日経平均のETFを買った場合は255社の株を買うことになりますが、TOPIXであれば10倍近い2192社もの株を買うことになります。
さらに、構成比率にも注目ですよ
日経平均は、ファーストリテイリング(ユニクロ)、ソフトバンクグループ、東京エレクトロンの上位3社で4分の1を占めています。
TOPIXは、上位3社でも10分の1にも届いていません。
日経平均はTOPIXと比較して、
構成銘柄数が少なく、一部銘柄への偏りが大きいポートフォリオです。
広く日本中に金融緩和の効果を発揮させたいと考えれば、考えるまでもなくTOPIXに投資すべきです。
日経平均とTOPIXの相関性は下がっていたが、日銀の発表でさらに下がった
2021年3月19日に、日銀のETF買い入れ方針変更が発表されてから、株価はこのように動いています。
発表日は、日経平均が下がってTOPIXが上がってるね
でも、20日以降はTOPIXも日経平均も同じように下がって、24日以降は同じように上がってるよ
では、相関係数を確認していきましょう。
ここ1週間くらいは同じように下がっているように見えるけど、相関係数は大きく下がってるね
そうだね。両指数とも下げてるけど下げ幅がかなり違うよね。
相関係数は日銀の発表前から下がってるけど、日銀発表後はさらに大きく下げてるね
ここ10年間で、相関係数が大きく下がった4回の事例をみてみよう
もう少し長期間で、日経平均とTOPIXの相関係数を見てみましょう。
過去10年間のチャートと相関係数を確認しましょう。
現在の相関係数は、0.51です。
2011年4月、2013年1月、2017年7月、2019年5月ですね。
この4回は、比較的似たような動きをしています。
- 相関係数が下がり始めてから1ヶ月程度で底を打ち、上昇に転じている
- 相関係数が元に戻るまで、下がり始めてから2ヶ月ほど
これから相関係数は戻ると想定していますが
もう一度、直近の相関係数を確認しましょう。
過去の事例から見れば、相関係数が近いうちに回復を始めそうですが
今回の相関係数の下落は、3月1日に始まっています。
まもなく1ヶ月ですから、過去4回の事例から見ればそろそろ相関係数が回復する頃でしょう。
そして1ヶ月くらいかけて相関係数がまた1.0に近づいていくと想定できます。
でも、今回は過去の事例がそのまま当てはまるとは思えません。
日銀のETF買い入れ方針の変更は、相関係数を下げる効果がある
しかし、日銀の日経平均ETF買い入れ中止は、明らかに日経平均に対してマイナスに働きます。
一方、TOPIXの買い入れ額は上がるので、TOPIXには上昇の圧力が少し増えます。
そうであれば、相関係数はもうしばらく回復しないということになります。
せーじんは、こちらのシナリオで行くと思っています
日経平均のETF購入は中止するが、金融緩和は継続する
日本銀行の黒田東彦総裁は2021年2月16日の衆院財務金融委員会で、上場投資信託(ETF)の買い入れについて「やめたり、出口を考える状況にはない」との見解を示しています。
また、先ほど紹介した2021年3月19日付日本銀行文書「より効果的で持続的な金融緩和について」ではこのように記載されています。
2%の「物価安定の目標」を実現するために効果的で持続的な金融緩和を実施していく
ETFおよびJ-REITの買入れについては、感染症の影響への対応のための臨時措置として決定したそれぞれ約12兆円および約1,800億円の年間増加ペースの上限を、感染症収束後も継続することとし、必要に応じて、買入れを行う。買入れを行ったときは、直ちに政策委員に報告する。
黒田総裁の言葉も、発出文書をみても、TOPIXのETFも買うのを辞めたり、日銀が保有しているETFを売るということは、当面なさそうです。
まとめ・せーじんならどうする
ということで、日銀のETF買い入れ方針の変更と、日経平均とTOPIXの相関性についてのお話でした。
日銀は、広く金融緩和の効果を日本中に行き渡らせるために、購入するETFをTOPIXに絞ったものと考えられます。
そのことで、日経平均にはマイナスの効果を、TOPIXにはプラスの効果を生むでしょう。
3月に入ってから日経平均とTOPIXの相関係数が下がっていますが、
日銀の発表を受けて相関係数は一段と下がっています。
過去の事例を見れば、相関係数はそろそろ回復する頃ですが、
今回は日銀の方針変更という重要なファクターがあるため、回復はまだ先になるでしょう。
ということは、今後しばらくは、
TOPIXが上がり、日経平均はさほど上がらない(または下がる)
という感じになるのではないでしょうか。
せーじんは、TOPIXを買い、日経を空売りしてみました。
しばらくこのポジションで様子を見ようと思います。
以上、【チャンス到来?】日銀の日経平均の買入中止!日経とTOPIXの相関性が低下という話題でした
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。