こんばんは、せーじんです。
今回は、2020年11月3日(火)に実施するアメリカ大統領選挙の株価への影響についてお話します。
こんな方は、ぜひお読みください。
・投資歴が4年以下
・大統領選挙が株価にどのような影響があるのかよくわからない
よくニュースでもやってるけど、アメリカの大統領選挙って関係あるの?
アメリカは世界ナンバーワンの超大国で、その影響力は世界中に響くんからね。
そのリーダーを決めるんだから米国市場への影響が大きいだけじゃなくて、日本市場とか、どの国に投資している投資家にとっても、とても重要なイベントなんだよ。
論理的な根拠はないけれど、よく当たる経験則
投資の世界には、論理的な根拠はないけれど、よく当たる経験則が多く知られています。
これをアノマリーといい、米国市場でも日本市場でも、多くのアノマリーがあります。
この中で、特にアメリカ大統領選挙に関するアノマリーを見ていきましょう。
1 大統領選挙の年は株価が上昇する
2 4年間の任期中に株価が上昇する確率は、民主党大統領のほうが共和党大統領よりも高い
3 前大統領と異なる政党の新大統領が就任すると、新大統領任期1年目は前年度と騰落方向が変わる
この3つのアノマリーについて検証していきます。
まずは、直近50年間のS&P500の騰落率をごらんください。
すごく大きな表になってしまいました。見えづらくてすいません。
年 | 大統領選挙 | 大統領の政党 | 年間合計リターン(配当込) | 任期中リターン | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1970 | 共和党 | 4.01% | |||
1971 | 共和党 | 14.31% | |||
1972 | 大統領選挙 | 共和党 | 18.98% | ー | |
1973 | 共和党 | -14.66% | 第1次オイルショック | ||
1974 | 共和党 | -26.47% | 第1次オイルショック | ||
1975 | 共和党 | 37.20% | |||
1976 | 大統領選挙 | 共和党 | 23.84% | 6.6%(73-76) | |
1977 | 民主党 | −7.18% | |||
1978 | 民主党 | 6.56% | |||
1979 | 民主党 | 18.44% | |||
1980 | 大統領選挙 | 民主党 | 32.50% | 53.8%(77-80) | |
1981 | 共和党 | −4.92% | 第2次オイルショック | ||
1982 | 共和党 | 21.55% | 第2次オイルショック | ||
1983 | 共和党 | 22.56% | |||
1984 | 大統領選挙 | 共和党 | 6.27% | 50.5%(81-84) | |
1985 | 共和党 | 31.73% | |||
1986 | 共和党 | 18.67% | |||
1987 | 共和党 | 5.25% | ブラックマンデー | ||
1988 | 大統領選挙 | 共和党 | 16.61% | 91.9%(85-88) | |
1989 | 共和党 | 31.69% | |||
1990 | 共和党 | −3.10% | 湾岸戦争 | ||
1991 | 共和党 | 30.47% | |||
1992 | 大統領選挙 | 共和党 | 7.62% | 79.2%(89-92) | |
1993 | 民主党 | 10.08% | |||
1994 | 民主党 | 1.32% | |||
1995 | 民主党 | 37.58% | |||
1996 | 大統領選挙 | 民主党 | 22.96% | 56.3%(93-96) | |
1997 | 民主党 | 33.36% | |||
1998 | 民主党 | 28.58% | |||
1999 | 民主党 | 21.04% | |||
2000 | 大統領選挙 | 民主党 | −9.10% | 88.6%(97-00) | ITバブル崩壊 |
2001 | 共和党 | −11.89% | ITバブル崩壊 | ||
2002 | 共和党 | −22.10% | ITバブル崩壊 | ||
2003 | 共和党 | 28.68% | |||
2004 | 大統領選挙 | 共和党 | 10.88% | -2.2%(01-04) | |
2005 | 共和党 | 4.91% | |||
2006 | 共和党 | 15.79% | |||
2007 | 共和党 | 5.49% | |||
2008 | 大統領選挙 | 共和党 | −37.00% | -19.3%(05-08) | リーマンショック |
2009 | 民主党 | 26.46% | |||
2010 | 民主党 | 15.06% | |||
2011 | 民主党 | 2.11% | |||
2012 | 大統領選挙 | 民主党 | 16.00% | 72.3%(09-12) | |
2013 | 民主党 | 32.39% | |||
2014 | 民主党 | 13.69% | |||
2015 | 民主党 | 1.38% | |||
2016 | 大統領選挙 | 民主党 | 11.96% | 70.8%(13-16) | |
2017 | 共和党 | 21.83% | |||
2018 | 共和党 | −4.38% | |||
2019 | 共和党 | 31.49% | 任期途中のため計算せず |
大統領選挙の年は株価が上昇する
1980年にこの50年間で12回の大統領選挙がありましたが、そのうち10回は株価が上昇しています。
上昇する確率は83.3%です。
かなりの高確率で上昇するといえるでしょう。
では、大統領選挙がない年も含めた全体では、どうでしょうか。
50年間で株価が上昇した年は40回ありました。
80%の確率ですね。
あんまり変わんないみたいだけど
そうですな。あんまり変わんないね。
大統領選挙のある年の上昇率83%と全体の平均上昇率80%の差3%をどう感じるかですね。
せーじんは、誤差の範囲かなーと思います。
では次のアノマリーに行きましょう。
4年間の任期中に株価が上昇する確率は、民主党大統領のほうが共和党大統領よりも高い
民主党の大統領の任期中リターンは、
53.8%(77-80)、
56.3%(93-96)、
88.6%(97-00)、
72.3%(09-12)、
70.8%(13-16)
平均して、+68.4%
共和党の大統領の任期中リターンは、
6.6%(73-76)、
50.5%(81-84)
91.9%(85-88)、
79.2%(89-92)
-2.2%(01-04)
-19.3%(05-08)
平均して、+34.4%
倍近く差がついたね。
オイルショックや湾岸戦争、ブラックマンデー、リーマンショックがすべて共和党政権下で発生しているのは、政治的な問題なのか、運が悪いのかはわかりませんが、データを見る限りはこれはアノマリーが当たっているといえるでしょう。
一般的に、共和党の大統領のほうが、株価に気を使っていると思われているので、これは意外な結果でした。
前大統領と異なる政党の新大統領が就任すると、新大統領任期1年目は前年度と騰落方向が変わる
前大統領と異なる政党の新大統領が就任したのは
1977,1981,1993,2001,2009,2017の6回です。
このうち前年と騰落方向が変わったのは、
1977,1981,2009の3回ですから、割合は50%ですね。
選挙がない年も含めた全体でみると騰落方向が変化したのは14回なので、割合は28%です。
たしかに、全体と比較すると高い割合になっているので、ある程度は当たっているのかもしれません。
でも、騰落方向が変わる確率が50%なんですよね。
普段よりは方向が変わる可能性は高いけど、それでも変わる可能性は50%。
50%で騰落方向が変わるって言われてもなあ。
今後の株価はどうなる?
今後の株価の参考にするために、前回の大統領選挙が行われた2016年のS&P500のチャートを見てみましょう。
・年明けから2月下旬は大きく下落
・2月下旬から8月下旬は大きく上昇し、
・9月上旬から大統領選挙のある11月上旬までは下落
・選挙後、年末にかけて大きく上昇
この動き、2020年ととても良く似ていますね。
今後も2016年と似たような動きをするのなら、これからしばらく下落し、選挙後に上昇に転ずるという感じでしょうか。
アメリカ大統領選挙の仕組み
アメリカ大統領選挙ってニュースでよくやってるけど、党大会がどうとか選挙人がどうとかよくわからないんだよね。
日本の選挙とは全然違う流れだからね。ただ、流れさえ知っておけば、エンターテイメント性があって、すごく楽しいんだよ。
選挙が楽しいの?
アメリカの大統領選挙はエンターテイメントとして楽めるように作ってあって、実際にアメリカの人たちは楽しんでるみたいだよ。
2月から6月 党員集会、予備選挙
共和党、民主党が各々で党員集会や予備選挙によって、党の代表候補を決める
7月から8月 各党の全国党大会
大統領候補者と副大統領候補者を正式に決定する
11月3日 本選挙
州ごとに割り振られた人数の選挙人を選ぶために一般有権者による投票の選挙を行う。
実質的にはこの選挙で大統領が決まるが、正式には後日選挙人の投票による選挙により大統領が決定する。
2021年1月20日 大統領就任式
まとめ
・投資の世界には、論理的な根拠はないけれど、よく当たる経験則をアノマリーといいます
・アメリカ大統領選挙に関する3つのアノマリーを検証しました。
1 大統領選挙の年は株価が上昇する
⇒ 普段と大きくは変わらないようです。米国はいつも上がっています。
2 4年の任期中に株価が上昇する確率は民主党大統領よりも共和党大統領のほうが高い
⇒ その傾向は強いようです。
3 前大統領と異なる政党の新大統領が就任すると、新大統領任期1年目は前年度と騰落方向が変わる
⇒ 普段よりも変わる可能性は高いのですが、それでも確率は50%です。
・前回大統領選挙のあった2016年のS&P500チャートを見ると、2020年とよく似ています。今後も似たような動きになるのなら、これから選挙のある11月上旬までは下落し、その後大きく上昇するのかもしれません。
以上、2020年11月3日はアメリカ大統領選挙。株価はどうなる?という話題をお送りしました。